大人になったゆいりくん…

会社に行って…
恋をして…
結婚して…
子供ができて…

泣いて…
笑って…
怒って…

私の知らないゆいりくんがたくさん…
ゆいりくんも知らないゆいりくんがたくさん…

どうして?

私が見てるは…何?

『ぼくのかのうせいだよ』

膝の上の小さなゆいりくんが言いました。

『可能性?』

『おねぇちゃんにころされなければこんなみらいもあったかもしれない』

『あ…』

そっか、私が奪ったんだ…
ゆいりくんの未来…

『ごめんなさい…』

涙が溢れました。
理不尽に奪われてしまったゆいりくんの可能性を思うと…
悲しくて…
申し訳なくて…

改めて自分が犯した罪の重さを知りました。

『ないてるの?』

『ごめん…なさい』

『なかないでおねぇちゃん』

『ごめんなさい…ごめんなさい…』

『おねぇちゃん?』

ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい!

私が奪った!
ゆいりくんの未来を!
ゆいりくんの可能性を!

私が!

涙が止まりませんでした。
自分を責めて責めて…
後悔して…

『後悔なんて…する資格ないよね…』

私はなんて酷いことをしてしまったんだろう…
こんな酷いことをしておいて…
どの面下げてゆいりくんの傍にいたんだろう…
私なんかが…

『おねぇちゃん?きえそうだよ?』

私はどんどん薄くなっていきました。
存在が消えかけてるようです。
自分で自分を否定しちゃったからかな?

しかたないよね…

私なんか消えて当然だもん…

ゆいりくんに飲まれて消えるなら…