『え?じゃぁあのサイトの書き込みって梅澤さんだったんですか!?』

俺と詩乃は本部に戻った。
中では梅澤が環にこってり絞られていた。

『え?でもどうやって?』

『そうか、主らには言うておらなんだな、花子はファーストじゃ』

『はぁ!?』

驚いた。
しかし俺以上に佐和田のオッサンが驚いていた。

『どう言う事ですか環さん!それに彼女はノイズを使っていました!』

『ファーストがノイズホルダーにならぬと言うた憶えはないが?』

『そんな…しかし!』

『まぁ厳密にはファーストでもないがな』

『意味わかんねぇよバァさん』

『幽体離脱じゃよ』

『なんですと!?』

『本体は別の場所で眠っておる、ここにおる花子は半セカンドとして抜け出しておるのじゃよ』

『そんな事が…可能なのですか?』

『忍者しゃからな、のう花子?』

『はい、忍術です』

『えぇぇぇぇ…』

『あぁでも…そうか…だからサーチにも引っかからずに背後に立てたのか』

『そう言う事じゃな』

『うん、俺的には納得』

『俺は納得…と言うか整理ができません…』

『今日はもう安め佐和田』

『そうさせてもらいます…』

佐和田のオッサンはフラフラと部屋を出て行った。
真面目な性格だからこそ梅澤のトンデモ設定を受け入れられないのだろう。

『でもどうしてネットであんな書き込みを?』

『任務です』

『任務?』

『はい、忍びの任務です』

『はぁ…』
(徹底したキャラ作りだな…きっとこれ以上は話してはくれないだろうな)

『さて後は田井中の小倅じゃな』

『よく生きてたなコイツ…』

『こう見えて優秀な霊能者じゃからな』

『へぇ』

『花子、本体を持ってきてこやつを寺まで運んでやれ』

『御意』

梅澤は部屋を出てすぐに戻ってきた。
どうやら本体もこの本部内にあるらしい。
軽々と良法を担ぎ上げ部屋を出て行った。

『何者なんだあの人…』

『忍者じゃと言うとろう』

『忍者ってそんなんだったっけ…』

『ところでお主ら、そうして二人でおるところを見ると…上手くいったようじゃな?詩乃』

『はい!』

『一見落着じゃな』

『なんか…ドタバタした割にあっけない解決だな…』

『良いではないか』

『そうね、帰ろうか、詩乃』

『うん』

俺達は環に別れを告げ、自分達の家…中学校旧校舎へと戻った。