『消えろ…』

『ゆいりく…』

『馴れ馴れしく呼ぶな!消えろ!』

『………ごめんなさい』

私はその場から逃げ出しました。
私はゆいりくんを傷つけてしまいました。
私はゆいりくんに嫌われてしまいました。

自分が嫌い。
ゆいりくんの言う通り、消えてしまえばいいのに…
でもセカンドだから死ねません。
どうすれば消えられるのかな?

(ここ…どこだろう?)

無我夢中で飛んでいたので、いつの間にか知らない場所にいました。

(このまま誰も知らない場所に行けたらいいのに…)

『Hey!』

『ん?』

『東洋人のセカンドなんて珍しいな!旅行かい?なんてな!Hahaha!』

外国人さんのセカンドみたいです。

『あ!あの!その!あいきゃんのっとすぴぃくいんぐりっしゅ!』

『何言ってんだ?セカンドに言葉の違いなんてないたろう!?』

『え?あ、ほんとだ、言葉通じてる…』

『ロンドンは初めてかい?』

『ろ…ロンドン!?』

『どこかも分からず飛んでたのかい!?おかしなお嬢さんだ!Hahaha』

『はわわ…日本はどっちですか…?』

『んん?お嬢さんムーブくらいは使えるだろう?方角なんて知らなくても帰れるだろう!?』

『あ…そっか!ありがとうございます!』

私は慌ててムーブしました。
このくだり必要だったのかな?

気がつくと遺族会本部に来ていました。

『何用じゃ小娘』

『あ…環さん…』

『バインドを学ぶ気になったか?』

『いえ…えっと…』

『なんじゃ?』

『そうだ…環さん、セカンドは…どうやれば死ねますか…?』

『何をまた唐突に…』

『えっと…その…』

『訳有り…か?』

『…はい』

『聞いても良いか?』

『えっと…どこから話せばいいのかな…』

『ゆっくりで良い、時間はたっぷりあるからの』

私は環さんに話しました。
ゆいりくんを傷つけてしまったこと、ゆいりくんに嫌われてしまったこと、ゆっくりと、話しました。