「菊ぅー??あれ、トイレかなぁ」 花の戸惑う声が、どんどん遠のいていく。 誰かに腕を掴まれたままで、その人に視線を移す。 「た、大雅クン!」 「はよ」 短く挨拶をして、腕を離した。 「覚えてんの?」 「え……?」 「練習の話♪」 満面の笑みを浮かべて、あたしの胸がまた少し痛みを感じた。