「う、うう嬉しくなんかないし!」
「葉月は嘘吐くの下手だな」
「う、うう嘘なんか吐いてないし!」
「はいはい。そういう事にしといてやるよ」
めちゃくちゃ上から目線。
年下のくせに。
佑真君の手の上で踊らされてるみたいで、ムカつく。
「葉月」
「何?」
ブスッとしたまま聞き返す子供っぽい私に、クックッと笑う大人っぽい佑真君。
対照的な私達は端から見たらどう思われてるんだろうか。
もしかしたら、高校生なのに子供っぽ過ぎる!とかかも。
悔しいけど、小学生なのに大人だ!より、その可能性が一番高い気がする。
「暗くなる前に早く帰れよ!」
「ご心配どうも。もう帰りますー!」
「じゃあな」
そう言ってひらっと私に向けて手を振ると、和真君と一緒にマンションへと向かって歩いていく。
トクトクと脈打つ鼓動はまだ速くて。
子供なのに、大人っぽい佑真君にドキドキしたかも……なんて絶対勘違いだと思いたい。
ぶすっとしたまま、段々と小さくなっていく佑真君と和真君を見つめながら、
「別に嬉しくなんか、……なかったし」
そう一人呟いた。