黒い羽と嘘と執着


でも、私思ったんだ



「そんなの、誰も幸せじゃない」



次朗君はそれで幸せなわけないでしょ?



本妻さんだって、人を殴って本当に心が落ち着くはずがないと思う



「綺麗事だろ」



「そうだよでも、綺麗事でも悲しい現実を見続けるよりマシだと思う
ねえ、次朗君はほんさ…お義母さんとちゃんと向き合って話したことある?」



「………」



「無いんだったら一回でいいよ、ちゃんと話してみて
それからでも拒絶を受け入れるのは遅くないでしょ?」



次朗君は目を見開いてそして静かに閉じると、歩き去ってしまう



すれ違う時に次朗君は



「そんなに簡単じゃねぇよ」



と言った