「勿論だよ…奴等は彼が昏睡状態の今ものうのうと笑ったりしてる、そう考えるだけで頭が可笑しくなりそうだ」



翼の目から一滴の涙が零れる



「そっか…」



こんなに本気で人を憎いと思う翼を見たことがない




私では翼を止めることはできない、そう思った



「ねえ、椿」



そして翼の狂気は私を侵食する





「お願いだよ、紅蓮のスパイをして」






翼はこの残酷な提案を、その意味を、分かって言っている



翼は私にとって大切なかけがえのない家族



でも、紅蓮の皆も私の中で大切になり始めている