こんなぐうたらな沙季のどこが良いのかさっぱり分からない。
「沙羽チョッカーは?」
「今日は早目に帰るからしてないわよ。」
「そうか…ピンチなったらキキでも呼べよ。」
「沙季こそ人のこと言えないでしょう?」
沙季は喉を鳴らして笑うと「行けよ。」と言ってしまうと私に背を向けた。
「えぇ。じゃあ後で。」
私は教室に戻ると授業を受けた。
夕暮れ前。
バタバタ帰らないと危ないかな。
そう考えた私は自転車を目一杯漕いだ。
その度に髪が揺れ靡きシャンプーのような良い匂いを振りまいていく。
家に着いた頃には日が沈もうとしていた。
そして私の家は日本庭園がついている大きな家。
和の風を感じる。
門を入り玄関へ急ぐ。
「あら。沙羽おかえりなさいチョッカー持って行こうと思ってたのよ。」
「お母さんただいま。今日は巡回行って来るから早目に帰るつもりだったの。間に合ってよかった。」
私のお母さん出羽 美夕羽(デワ ミユハ)
私の綺麗な黒髪はお母さん譲り。


