そういうと政宗さんは笑顔になり、店内にある宝石を隅から隅まで眺めてみた。

一番奥はエンゲージリングだった。

まだ私には早い。


「これはどうですか?」


銀色の指輪に小さなダイヤが三つ。

指輪の内側の真ん中にぐるりと一周囲むように赤い線がある。


「こちらは赤い糸を模したデザインになっています」


「僕たちみたいだ」


政宗さんがうっとりとした表情でその指輪をみつめている。

私もその姿に胸が高鳴った。


「素敵」


「むつみさん、試してみてくださいよ」


「はい」


右薬指にはめてみる。

銀色の指輪にひときわ輝く小さな三つのダイヤがきれいだった。


「これにしましょう」


指輪をはずし、値段をみると、ゼロの表記が多くてびっくりしている。


「これ、高いじゃないですか」


「いいんです。むつみさんのためなら」


「ペアリングもあるんですけど」


店員さんが少し大きめな銀色の指輪を出してきた。

厚めの指輪の内側に同じ様に赤い線があった。


「買いたいところですが、さすがに仕事中もっていうのはできないし、なくしてしまいそうなので、二人で一つのリングにしたいので。ダメでしょうか?」


政宗さんが申し訳なさそうに小さな声で言った。


「私は別にかまわないです。政宗さんの気持ちに甘えます」


「うれしいです」


さっそく注文した。

店員さんからはできあがるのは、来週の終わりになると教えてくれた。