恋愛優遇は穏便に

データも電話応対も滞りなく進み、お昼休みになった。


「ちょっと出かけてきますね」


と高清水さんは財布を持ってでかけてしまった。

給湯室から暖かいお茶を入れたカップを持って、ほっと一息ついてお弁当を広げようとしたときだった。


「お疲れさまです」


現れたのは政宗さんだった。


「お疲れ様……です」


「そんなに目を丸くして驚かれるなんて」


といって、政宗さんは自分の席へ向かって座っていた。


「お昼ですか?」


「ええ。北野さんも高清水さんも外へ出ると話があったので」


とぶらさげていた小さなコンビニの袋からおにぎりを出してきた。


「お、お茶、淹れてきます」


「別にいいですよ」


そういって政宗さんは静かに笑う。


「ちょ、ちょっと待っててください」


そういって、すぐさま給湯室へと向かい、カップにお茶を注いで事務所へ帰ってきた。

胸の高鳴りを抑えつつ、政宗さんへお茶を差し出した。


「よかったら」


「ありがとうございます。こうやってお茶を淹れてもらったのはいつでしたっけね」


少しだけ暖かく聞こえる。

政宗さんとこうやってお茶を淹れたり逆に淹れてもらったりしたことがひと昔前のような気がした。

政宗さんはお茶の入ったカップに口をつける。


「あったかくて、おいしい。やっぱりむつみさんの淹れるお茶はおいしいですよ」


胸をくすぐるようなやさしい声で政宗さんは言ってくれた。