恋愛優遇は穏便に

会社でみる政宗さんは久々だったので、視線を合わせるのは恥ずかしくなった。

視線をそらしながら、朝の挨拶をすると、みんな一斉に返してくれた。

そそくさと自分の席に着くと、政宗さんの視線が私に向けられているのに気付く。

知らないふりをして仕事の準備を始めた。


「そっか。今日は、そうだったわね」


と北野さんも高清水さんも壁にかかったカレンダーを見つつ、妙に納得した顔をして頷いていた。


「年の瀬ということもあって早く出かける必要がないっていうのは、北野さん、ご存知じゃないですか」


「まあね。そうだけどさ」


といいながら、北野さんはニヤついていた。


「それでは今日の朝礼をはじめます。いつもと変わりませんが、僕と北野さんは営業先に回ります。早く回ればそのまま直帰する予定ですのでお願いします」


まるで私に向けて話をしているような、そんな気がした。


「北野さんからは何かありますか?」


「データ処理は先週やり終えたので大丈夫。とくに急ぎの仕事はないかな」


「というわけで、今日もよろしくお願いします」


朝礼が終わり、各々の仕事を始める。

北野さんとともに政宗さんも一緒に事務所を出て行く。

事務所を出るとき、やはり政宗さんと目が合った。

一瞬、口元が笑ったのは気のせいだ、と思いながら、高清水さんから渡された受注票に目をうつしてデータを入れた。