恋愛優遇は穏便に

12月25日の朝を迎える。

昨日のイブの日の夜、政宗さんからメールがきた。

もしかしてデートのお誘いじゃないか、と気持ちをときめかせてしまった。

でも一瞬で浮かれていた気分は冷めていく。

『明日は兄さんの仕事が終わったらメールをしてください』とだけ書いてあった。

『わかりました』とメールに返事を書いて送った。

相変わらず甘い考えがすぎるな、と反省した。

結局イブの夜は一人寂しくご飯を食べて過ごしただけだった。

昨年のクリスマスは大和と過ごしたはずなのに、とくに印象がなかったのか、ただ食事をしただけだったのか、味気ないクリスマスだったことは覚えている。

今日は政義さんの会社の契約が終了するということもあり、いつにも増して洋服を慎重に選んだけれど、結局は白いタートルネックにボルドーのミディ丈スカート、黒のジャケットを合わせ、キャメル色のコートを羽織り、黒のパンプスを履いて出て行く。

クリスマスに華やぐ街並み。出勤途中とはいえ、朝からどこかソワソワして落ち着かないように思えた。

冷たい風にさらされながら、いつものように会社へと続く道を通勤通学の群れの中に紛れて進んだ。

会社につき、制服に着替えて事務室のドアを開けようとしたら、ドア越しから騒がしい声が聞こえてきた。

おそるおそるドアを開けてみる。


「あら、珍しいわね。五十嵐くんが朝、会社にいるだなんて」


「僕だって朝、ちゃんと営業所にいてみんなの顔をみたいんですよ。忙しくて時間がとれなかっただけです」


紺のピンストライプのスーツにシルバーのドット柄ネクタイをあわせた姿の政宗さんと目が合った。