恋愛優遇は穏便に

ようやく工事中の道を渡りきり、見慣れた風景が広がった。


「僕から聞きたいことがあります」


「何でしょうか」


「兄さんとは会社で何をしてるんですか」


淡々と発せられる政宗さんの言葉に胸が張り裂けそうになる。


「普通に仕事です」


「仕事以上のこと、してるんじゃないんですか?」


「仕事以上って」


疑われるのも無理はない。

廊下で会った時のあの驚きと悔しい顔つきは今でも忘れない。


「あんなに親密そうにしていたら、会社の中で何をしてるんでしょうね」


「だから、仕事ですって」


「じゃあ、どうして秘密にしていたんですか」


「それは……」


「言えないんですか?」


「……それは政宗さんのお兄さんだったからです」


「お兄さんのこと、あまりいいようにいってなかったから、言えずにきてしまいました。それに」


「それに、なんですか」


遠くに観覧車が見えてきた。

今日もきれいなイルミネーションで道行く人たちを歓迎している。

思い出のつまった、この界隈で言わなければいけない。

本当のことを。

すうっと息を吸い、深呼吸をした。


「……お兄さんとキスをしてしまいました」