ハロー、マイファーストレディ!

力なく視線を宙に彷徨わせた透と、無理矢理視線を合わせる。やや力は弱めたものの、胸ぐらを掴んだまま俺は語気を強めた。

「俺を誰だと思ってる。高柳征太郎だぞ?」

あまりに自信たっぷりの俺の様子に、透は拍子抜けしたのか、きょとんとした表情のまま俺を見つめ返していた。

「このくらい、すぐにカタを付けてやる。」

何の根拠もない言葉だが、いつも以上に自信たっぷりに言い放ち、俺は親友の前で微笑んだ。


“自分になら、必ず出来るはずだ”

いつもそれだけを信じて、俺はこの世界で生きてきた。
決して、自惚れや慢心などではない。
ただ、出来ると信じなければ、何事も成し得ないことを、俺は身を以て知っている。

「安心しろ。誰も犠牲にせずに、俺は必ず一番になってみせる。」

もう一度力強く宣言してみれば、目の前の親友はようやく目が覚めたように、しっかり俺と視線を合わせた。
と同時に、呆れたように小さくフッと息を吐く。顔にははっきりと「こいつ、馬鹿なのか?」と書いてある。

相変わらず鼻で笑われるのは気にくわないが、ようやくいつもの調子を取り戻した親友に、そっと安堵する。
複雑な生い立ちのせいで、幼い頃から未来に夢も希望も持てなかったこの男は、この国の一番になるという俺の目標をいつも側で笑っているのだ。持てる力の全てを注いで、無理を幾重にも重ねてまで、懸命に仕事をして一体何の得になるのだと、言葉にこそしないが、からかうような冷めた視線で毎日俺に問い掛けている。