ハロー、マイファーストレディ!

写真を撮ったら、後は真っ赤な嘘を証言するだけでスクープは簡単に捏造できる。

高柳の秘書に金を渡した。
カネは新薬承認の為の個人的に用意した賄賂だ。
その見返りが得られなかった為に、成果が上げられなかったと判断され、会社を解雇されるハメになったと騒ぎ立てる。

きちんとした捜査によれば、そんな賄賂のなど一円も出てこないことは分かっている。建設会社を退社後に、もしかすると久住は一時的に製薬会社に籍を置いていたのかもしれないが、勤務の実態はなかったはずだ。

しかし、全ての事実を立証する前に、世間は一方の言い分だけを鵜呑みにして騒ぎ立てる。さらに、黒幕の手によって意図的に情報は操作されるかもしれない。
俺は潔白だと言い張っても、人々は俺に疑惑の目を向けるだろう。一度付いてしまったイメージはおそらくどんなに時間を掛けても完全には払拭されない。

恐ろしいことに、火のない所にだって煙は十分に立つのだ。



「全て、俺の独断でやったことに……」

ようやく絞り出すように発せられた言葉に、耳を傾けた。
透は顔を上げて、俺に向かって口を開く。俺が知る中で、一番情けない親友の顔だ。

「先生は何も知らなかったと、そうコメントを……」

透が何を言おうとしているのか分かった俺は、思わず感情的になって、立ち上がって透の胸ぐらを掴んだ。

「馬鹿なこと言うな!ふざけるな!!」

慌てて大川が止めに入ったが、俺の怒りは収まらなかった。

「お前は、俺がそんな卑怯なマネをすると思うのか?」
「まさか。でも、それが一番…」
「そんなことしたって何にも変わらない。むしろ、これから一生、世間に硴野みたいな腐りきった政治家だと思われるだけだ。お前は、俺がそんな下等な政治家に成り下がって満足か?」
「でも、それ以外に方法が…」