ハロー、マイファーストレディ!


どのくらい経ったのだろうか。
途中からは、文句を付けるのも面倒になり、黙々と真依子のプロフィールを読んで、頭に叩き込んでいった。

ふと横を見れば、同じように俺のプロフィールに目を通す真依子の横顔が目の前にあった。
頭を働かせるのにも疲れたので、しばらく、その横顔を観察することにする。
整った目鼻立ちは、薄化粧ゆえにいつもより幾分か幼く見えた。
瞬きする度に長い睫が大きく揺れる。
本当に、憎らしい程に美しい顔だ。

二階の個室は三室ともに和室だが、今、座っているのは、使い古したソファだ。
このソファが置かれるようになったのには、とある理由があるのだが。
小さなソファゆえに、二人して腰を下ろせば自然と距離が近くなる。

学業の成績は平均的だと言っていたが、集中力はそれなりに持ち合わせているらしい。
しばらく、こちらの視線に気が付かずに手元に目を落としていたが、すべての項目に目を通し終えたのか、小さくため息を落としてから、顔を上げた。


「何よ、そんなに見つめても、特技は変えないわよ。」

俺の視線に気が付いた真依子が、怪訝そうに眉を寄せる。
しかし、見つめられていた事に照れたのか、彼女はすぐに視線を外した。