ハロー、マイファーストレディ!

「えっ、趣味は、乗馬とテニス?あなた、本当に典型的なボンボンなのね。」
「普通だろ。」
「いやいや、嫌みなほどにお金持ち感が滲み出てるから。」
「あっ、そう言えば、趣味は最低一つは被せないとまずいな。来週出る週刊誌の続報に、趣味を通じて急接近というくだりがある。」
「はあ、何でまたそんな厄介な話にしちゃうかな。」
「透が考えたんだ。だいたい、まるで趣味が合わないなんて想定外だ。仕方ないな、お互いに趣味に“読書”を付け加えよう。」
「ちょっと待ってよ。私、雑誌しか、ほとんど読まないけど?最近読んだ本の感想とか聞かれたらどうするのよ。」
「じゃあ、テニスくらい出来るだろ。」
「…ラケット握ったこともないわよ。私の趣味の方に合わせてよ。」
「俺の趣味が、“ショッピング”ってのは、イメージに合わない。そもそも、これは趣味と言えるのか?」
「じゃあ、将棋は?私、病棟に入院してる患者さん相手に鍛えられてるから、結構強いわよ。」
「渋すぎるが、まあいいだろう。俺も将棋は指せる。」

俺は再びため息を落とした。
真依子も、同じくうんざりとした表情だ。

そして、まだ二項目目だ。
これ、全部すり合わせるのに、どれだけ時間掛かるんだ?

時計を見て、俺は早々に徹夜を覚悟した。