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「あーやめやめ!虚しくなるだけだからやめ!」



付き合っている相手もいないのに架空の人物を作り上げ、さらには環境も何もかも頭の中で設定をしての妄想だ。


なんて虚しいことを自分から進んでしているのだろう、と呆れる。


人のぬくもりを求めすぎるが故にこんな妄想までしてしまうとは、私は相当寒がっているらしい。


こんなことをしている限り、当分、私の冬は寒いままなんだろう、きっと。

それにもしかしたら寒いのは冬だけではないのかもしれない。



こんな妄想を始めたのはきっと、ただ誰かに抱き締められたいという秘めた願望があったからだ。


でもやっぱり妄想だけでは、それは満たされない。



本当の人のぬくもりを感じられるのは、いつなんだろうか、あとどれくらい先なんだろうか。




――ああ、だめだ。


愛に飢えているのだろうか、私は。



*END*