花束と小さな箱を受け取り、早速箱を開けてみる。


そこには、この間某ジュエリーブランドのお店に二人で偶然入ったときに見た、私が一目惚れしたとは口には出さなかったけれど、じっと見つめていた指輪があった。

さらに彼の右手を見ると、その薬指には同じデザインのものがすでに填められている。


それを見た直後から、もうにやけが止まらない。


これは婚約という意味ではない。

その時期はまだだとお互いに思っているから、それは分かる。

それでも、一目惚れしたリングを記念日にくれて、しかもペアで。


単純に、素直に、嬉しかった。



「嬉しい……ありがとう!」



そう言って私は花束と箱を持ったまま、たまらず彼を抱き締める。

私よりも20㎝も高い彼の胸元に右耳を当てるようにすると、彼は「これからも、よろしく」なんて言いながら腕を回してくれる。


ぎゅっと適度な力強さで抱き締められる。


この瞬間が私はたまらなく愛おしくて。



温かい。

この人とずっとこうしていたい。

もっと温かさを感じたい。



そう心から、私は彼と彼のぬくもりを欲しているーー