彼は覚えているだろうか。

4年目の記念日を。



胸を高鳴らせながら小走りで向かった玄関にいた彼は、何か様子が変だった。

荷物は床に置かれているのに両手を後ろに回して、子供が何かを隠しているような格好をしている。

そして立ったまま微笑んでこちらを見ている。



「ねえ、今日何の日だか覚えてる?」



唐突にそう問われ、私の鼓動はさらに高まる。


忘れているんじゃないかと疑った自分が一瞬嫌になる。


思わず満面に笑みを浮かべる。

彼は私のその表情の変化が問いの答えであると悟って、後ろに回していた両手をさっと私の目の前に差し出した。


その手にはかわいらしい花束と、小さな立方体の箱が握られていた。



「俺と4年も一緒にいてくれてありがとう。小さくて悪いけど、これ、気持ち」



1年ごとの記念日も4回目だというのに照れくさいのだろうか、彼は不器用にそう言う。

いや、彼はこういう性格なんだ。


いつでも不器用でシャイで、この恋の進展もゆっくりで。

でも優しいことはもちろん、細かいところに気づくし、とても頼りになって。



だから私もここにこうしているんだ。