今日は待ちに待ったお祭りの日。

浴衣はお母さんに着付けをしてもらった。
メイクもヘアアレンジもばっちり!
立川はどんな格好だろ。すごく楽しみ。

みんなと待ち合わせの場所に着いた。
既に何人か来ていたけど、立川は…まだいない。

夏休み前に、高梨や仲のいい増田、千葉などがみんなを誘ってくれたらしい。

「優愛!」

愛理、咲希、杏佳がもう着いていて、私のことを呼んだ。

「かわいい!メイクとかいつもと違うね。すごい似合ってる」

さすが女子はすぐ気がつくんだね。

「そう、ちょっと変えてみた!変じゃないかな?」

「いや、そんなにかわいかったら高梨ももっと好きになっちゃうよー?」

「ちょ、やめてよ!前にも言ったけどそんなこと絶対ないから!」

「照れちゃってー」

またみんなからかってくる。最近はいつもこうだ。これに慣れるまでどのくらいかかるんだか。

こんな話をしているうちにぞくぞくとメンバーが集まってきた。
探しても探しても立川の姿は見えない。

今日は来ないのかな…

「じゃあ、結構集まったし、行きますか!」

クラスの千葉の号令でみんなが歩き始める。立川がいないとこんなに頑張った意味がないのに。

「うわー!待って!ごめん、おくれた!」

後ろには息が切れてる立川がいた。
こんなとき彼女だったら大丈夫だよ、とか言うのかな。
なんにも言えない自分にイライラする。

「おぉ、ぎりだったな。よし、また1人増えたってことで!こんどこそ行くか!」

立川の私服姿。初めて見た。
白のTシャツに半ズボン。その上にはチェックのパーカーを羽織っている。男の子って感じ。

あぁぁぁ、かっこいい。かっこいい以外に言葉が見つかんないくらい。


え!急に立川がこっちを見てきた。
てゆーか、うん。目があった。気がした?
いや、嘘ではない。こっちに来てる…

あ、私の後ろに友達がいるのかな。そうだね。どかなきゃね。
と、思ってどいても。目の前には立川。どんな状況なの、これ。

心臓のドキドキを抑えきれず上を向いてみる…と。
立川が私の顔をまじまじと見つめている。

「ど、どうしたの?なんかついてる?変…かな?」

「いや、ごめん、いつもと違うから。その、かわいいなって思って。」

「…え?」

「よし、行こ!みんな行ってるから」

「あ、あ、うん。」

なんなの今の。どうしよう。まさかあんなこと言われると思ってなかったから。

もう!心臓うるさい!そんなにおっきい音なってたら聞こえちゃうじゃん。

すっごく嬉しかった。でも、なんであんなこと。私に言ってくれたんだろ。期待してもいいんですか?頑張っちゃうよ?私。