嗚呼……。 暗い水底が僕を手招きしている。 呼吸をする僕の口からいくつもの泡が溢れ、沈んでいく重たい体とは反対に静かに浮かんでいく。 目を閉じて体を預ければ心地よかった。 泣いているだろうか? 醜い世界で唯一、僕が綺麗だと思ったあの子は、独りになる。 そうだ、愛しいあの子の夢をみよう。 愛しい笑顔をなぞるように。 この手の温もりを思い出すように。 end.