「どうして…?……どうして死んじゃったの?」





 ―…仕方ないよ。グイードだって僕らだって、いつかは死ぬのだから。

シェイドの言葉が頭からずっと離れなかった。確かに人間いつかは皆、死んでしまう。けれど、けれどこんなのあんまりよ。私の考えになんて気付かないグイードは、私の髪を彼の長い指先に絡め弄びながら静かに口端を持ち上げて笑っていた。




「けれど案外、僕にしては上出来な終わり方だったでしょう?」





パンッ、

私は彼の頬叩いた。叩かれた彼の頬は赤くなっていたのに、彼は哀しい顔をして私を見ていた。



「人の気もしらないで、まるでこの世界なんてどうでもいいなんて風に言わないでよ!!」


「最低」という言葉を付け足した私の方が最低だね。彼は始めからこの世界が嫌いだなんて事、私が一番知ったように言ってたのにね。きっと私の頭おかしいんだ。彼は優しい。彼は、こんなにも世界が嫌いなのに私を愛してくれている。いつも自分の事よりも私を大事に優先してくれる。ほら今だって私が叩いた頬が痛そうなのに、彼は私を心配そうに見つめている。だけど私は、いつも自分の事しか見えていない。



「すみません、キール」




「謝るくらいなら、どうして猫なんか助けたのよ……!!…グイードが死ななくて済むなら、猫なんて…!」


「僕は、この醜く汚れた世界が嫌いです。その世界で生きるもの全ても。…だから未練なんてなかった……貴方以外は」



私にその先を言わせないように彼は言葉を被せた。そうして私の髪を優しく撫でる。いつも拗ねてしまう私をなだめる時に使う彼のやり方。ねぇ、グイード。知ってた?私が鬱陶しくて仕方ない、この髪を伸ばしてるのは貴方がこの髪を好きだと言ってくれたからなんだよ…?






















残酷な君の優しさ
(だから貴方は一人で踊り続けるの)