抱きしめ返すと、チャイムが鳴った。
「あ…ホームルーム始まっちゃった…」
「いいよ、サボろ」
まさか千尋くんから〝サボる〟というワードが聞けるなんて思ってなかった。
本当はダメだけど、今日くらい、いいよね?
「うんっ!」
その日、ホームルームと1時間目をサボり、
2時間目から教室に戻った。
私は戻って直ぐに遠藤くんに、元通りになったよ!って伝えたら、
よっしゃ!やったな!!
と、自分の事のように喜んでくれた。
あ、園田先輩にも連絡しておこう!
やっぱり一緒に回れませんって言わなきゃ。
放課後、園田先輩からは、良かったね!一緒には回れないけど、会ったときはよろしくね。とメールが来ていた。
今日は遠藤くんと天咲くんと3人で小道具作り。
そして今日も隣のクラスからは女の子の黄色い声が聞こえるけど、もうそんなの気にならなくなった。
そんな私を見て、遠藤くんと天咲くんは顔を見合わせて笑った。