岡本くんの愛し方









家に帰って部屋で勉強していると、千尋くんから着信があった。




「…もしもし?」




『すず、ごめん。一緒に帰れなかった。』




「ううん、気にしないで!
30分も待ってなかったから!
終わらなさそうだったから先に帰ってたよ」




嘘だよ…1時間半も待ったの。




終わるって信じて待ってたんだよ。




『ならよかった』




…気づいて欲しいけど気づいて欲しくない。




そんな複雑な気持ちが心の中でごちゃごちゃしてて、泣きそうになってくる。




「それじゃあ、私勉強するね!」




気づいて…欲しい。




声で分かってくれるんだよね?




ううん、気づかないで。




困らせたくないの。




『分かった、それじゃあ』




ツー…ツー…




電話は切れてしまい、一気に感情がこみ上げてきて涙が止まらなくなってしまった。