日向は机の上に置いてあったペンを回しながら答えた。 「うーん。話せば長くなるんだけどね。正直言うと、私、お兄ちゃんの顔とか忘れてたんだ」 「忘れてた?」 「そ。でも、優しかったことだけは覚えてる。スイーツ大好きってことも」 クスリと日向が笑う。 それは今でも全然変わってない。 不器用で、スイーツが大好きな子供っぽい社長……。 「再会したのは、私が大学3年のとき。バス停で数学の勉強してたの。私、数学専攻してたから」 なんか意外だ。 優衣は「へえ」と思わず、感心してしまう。