結婚の定義──君と僕を繋ぐもの──

それまで黙ってマユの話を聞いていたレナが、マユの目をじっと見つめ、両手をギュッと握りしめた。

「マユ、それは三浦くんがそう言ったの?違うでしょ?」

マユはいつになく強いレナの口調に驚いた後、小さくうなずいた。

「人の幸せを勝手に決めちゃダメ。三浦くんには三浦くんの思う幸せがあるんだよ。マユ、言ったよね?ユウのこと、一人で悩んで自分の中でどうにもならなくなるって。マユも一緒だよ。そんな大事なこと、どうして三浦くんと話さないで一人で決めちゃうの?」

「レナ…。」

「夫婦なんでしょ?ちゃんと向き合ってよ。二人でちゃんと納得いくまで話して、答えを出すのはそれからでしょ?お互い気を遣ってるだけで何も言わないなんて、そんなのおかしい、優しさなんかじゃないよ。ケンカしたってカッコ悪くたっていいから、もうちょっとあがいてみてよ。二人で乗り越えて笑ってる姿を見せてよ。それで私に、結婚っていいなって、夫婦っていいなって思わせてよ。マユと三浦くんがそのまま別れちゃったら、私、不安で、怖くて、結婚なんてできないよ。」

「うん…。」

マユの目から、ポロポロと涙がこぼれ落ちた。

「ねぇマユ。ちゃんと、三浦くんに話してみよう?三浦くんはちゃんとマユの気持ちをわかってくれると思う。マユが三浦くんのこと、すごく大切に想ってることも、本当はそばにいて三浦くんを支えたいって思ってることも、ちゃんと伝えようよ。」

「えっ…なんでレナ…。」

「わかるよ、それくらい。私、ずっとマユといたんだよ?」

「レナ…なんか、変わったね。高校生の時は、恋の定義がわからないって言ってたのに…。」

マユは涙を指で拭うと小さく笑みを浮かべる。

「そうかな。マユ、人のことはなんでもよく見えてるのに、自分のことになると全然見えないんだね。」

「そうかな?」

「無自覚なんだ。」

レナとマユは顔を見合わせて小さく声をあげて笑った。

「レナにも話せないくらい、ずっと後悔して苦しんできたこと、やっと話せて少しホッとしてる。ありがとね、レナ。」

「うん…。ねえマユ、三浦くんとこ行こう?」

「えっ?!今から?」

「うん、手遅れになる前に。」