「行く宛てもないのに…どうしよう…。」

別人のようになってしまったユウを残して部屋を出てきたものの、レナには行く宛てもなく途方にくれていた。

(マユにばかり迷惑かけるわけにもいかないし…でも、リサにも心配かけたくないな…。)

目立たないように帽子を被り、眼鏡をかけてふらふらと街をさまよっていると、大型電気量販店のテレビからは昼のワイドショーが流れていた。

「アリシアさんが…。」

(えっ、私?!)

ワイドショーの司会者の“アリシア”の声に反応したレナが、思わず足を止めてテレビの画面に目をやると、そこにはあの打ち上げの日に訪れた有名ホテルの前で野崎に抱きしめられている自分の姿が映っていた。

(何…?!いつの間にこんな…。)

呆然と立ち尽くすレナの耳に、司会者と芸能レポーターやコメンテーターの声が流れ込む。

「今回のこの騒動ですが、野崎さんサイドはアリシアさんとはいい関係だとおっしゃってますよねぇ。」

(ええっ?!いつの間にそんなことに?!って言うか、いい関係って何?!)

「野崎さんがアリシアさんとの熱愛を認めてらっしゃると言うことは、アリシアさんとユウさんのお付き合いは終わったものと…。」

「まぁ、そういうことになるでしょうね。」

(何勝手なことを…!!)

レナは悔しさのあまり拳を強く握りしめた。

(でも……ユウと終わってしまったのは、本当のことだ…。)

涙が溢れそうになったレナは、慌ててその場から立ち去った。