ユウは慌ててその文字を目で追うと、配信元の週刊誌の、ネット配信版の詳しい内容の記事を読んだ。

レナがホテルの前で俳優の野崎恭一に抱きしめられている写真が掲載されていた。

(間違いない…これ、レナだ…。)

その記事には、写真集の撮影がきっかけで親密な関係になった二人が、ホテルの前で人目もはばからず抱き合っていたと書かれていた。

そして、野崎が“レナとはいい関係だ”と言っていると言う。

ユウは、呆然とその画面に映る写真を見つめていた。

(オレ、愛想尽かされたんだ…。もう、新しい恋人までいるのか…。)

海外での撮影は野崎の写真集の撮影だったのだろう。

ユウから離れた場所で、レナと野崎の間に何かが起こっても不思議ではない。

急に外泊をしたり、毎晩帰りが遅かったり…。

もしかすると、レナは野崎と一緒にいたのかも知れない。

(オレのこと、あんなに好きだって言ってたくせに…。やっぱりレナも、オレから離れて行くんだな…。あの女みたいにオレを捨てて…さっさと新しい恋人の元へ行くんだ…。オレのそばにいるって言いながら、本当は…!!)


ユウを襲う嫉妬と絶望、そしてなんとも言えない恨みのような思い。

おかしくなってしまいそうなほど、胸が激しく痛んで、苦しくて、どうしようもない。

ユウが息苦しさに胸をギュッと掴んだその時、玄関でドアの閉まる音がした。

レナが帰って来た。

新しい男と一晩過ごしておきながら、素知らぬ顔でユウの元へ帰ってきたのだと、ユウは湧き上がる感情が抑えきれなくなり立ち上がると、リビングへ歩いて行き、帰ったばかりのレナの腕を強く掴んだ。

「ユウ…?どうしたの?」

突然ユウに腕を強く掴まれたレナは、驚きを隠せない。

ユウはレナの腕を強く掴んだまま、その手を引いて自分の部屋へ向かう。

「痛い…ユウ、痛いよ…。」

レナがそう言っても、ユウはレナの腕を掴む手の力をゆるめない。

「ねぇ、ユウ…。」

「うるさい!!」

ユウはその手で、レナをベッドに投げ出すように押し倒した。

(えっ…?!)