ローストビーフのサラダ、鮭とキノコのクリームパスタ、エビやチキンのフリッター。

チョコレートクリームとイチゴのケーキ。

テーブルにはレナの手料理が並んでいた。

ケーキもレナの手作りだ。

いつもより少し贅沢にシャンパンを飲みながら、レナの作った料理とケーキで、二人でささやかなクリスマスパーティーを楽しんだ。

「レナの作ったケーキ、すごくうまそう。」

「久し振りに頑張っちゃった。」

「今日はちゃんと食べさせてもらえるんだ。良かった。」

「もう…またそれを言う…。じゃあ、あの時のお詫びに、ハイ。」

レナはフォークに一口分のケーキを乗せると、ユウの口の前に運ぶ。

「えっ?」

どういうことかとレナの手元を見つめるユウ。

「食べさせてあげる。ハイ、あーん。」

少し小首を傾げるように、上目遣いでケーキを乗せたフォークを差し出すレナに、ユウはたじろいだ。

(今までこんなこと、なかったような…。)

「ね、ユウ…早く…。」

(レナ…妙に色っぽいと言うか…エロい気がするのは気のせい…?)

「ユウ…口、開けて。」

ユウはどぎまぎしながら口を開いた。

「ハイ、あーん。」

レナはフォークをユウの口の中に運び、ケーキを食べさせると、ユウの目をじっと見る。

「おいしい?」

「うん…。」

レナはユウの口元に手を伸ばすと、その細い指でそっとユウの唇を拭い、ついていたクリームをペロッと舐めた。

「…!!」

(何?なんだこれ?!)

レナのいつもとは違った妙に色っぽい仕草に、ユウの胸は、急激にドキドキと音を立てる。

「クリーム、ついてた。」

「あ…うん…。」

何事もなかったように、レナはケーキを食べ始める。

ユウは、一人ドキドキしたまま、そっとレナの様子を窺った。

(レナって…天然小悪魔?!)



食事を終えると、二人でこたつに入り、のんびりとシャンパンを飲んだ。

レナは少し上気した頬でユウの肩にもたれ掛かると、静かに呟く。

「二人一緒だと、特別なことなんてなくても楽しいね。」

「うん。楽しいな。」

「何年か経ったら、もっと賑やかなクリスマスになるのかな?」

「そうだな…。」

結婚して、いつか二人の間に子供が生まれたら…きっと今とは違う毎日になるのだろうと、二人は未来の自分たちに思いを巡らせる。

「でも、もうしばらくは…レナとの二人だけの時間を大事にしたいな…。」

ユウはレナの肩を抱いて、優しく髪を撫でる。

「うん…。」

レナは甘えるように、ユウを見上げる。

(あ…この顔…。)

ユウはレナの唇に、優しくキスをした。

唇が離れると、レナは少し恥ずかしそうに小さな声で呟く。

「どうしてユウにはわかっちゃうんだろ…。」

「キスして欲しい時?」

「うん…。」

「わかるよ。オレは、レナが大好きだから。」

ユウは愛しげにレナを見つめて、もう一度甘くて優しいキスをする。

それは、二人だけの、甘い夜の始まりだった。