「ちょっちょっと離してよ!!!」


強めに言ってようやく吉田くんは離してくれた。

気付けば中庭からパソコン室の中まで連れられていた。


「いい加減にしてよ!
いつもいつも…私の半径3メートル以内に近づかないでって言ったでしょ!
今度は何なの!?」


私は怒りでいっぱいになっていた。


「…わかんねぇよ!!」


「はっ?なにそれ?」


「しらねぇけど、お前と悠人が一緒にいるとこ見るといても立ってもいられなくなった」


「えっ?なにそれ…私のが訳わかんないんだけど」


「………」


「……私もう戻っていい?」


「…行かせねぇ」


そう言いながら腕をつかんで来る吉田くん。


「アイツのところに行かせたくない」


「…もういい加減、嫌がらせやめてよ!


私のこと嫌いなんでしょ?


じゃあほっといてよ」


私は腕を払おうと手を動かした。


その時、私は吉田くんに抱き締められた。


「……!?」


「えっ、ちょっとやだ。離して!」



「……嫌だ」



「私のこと、嫌いなんでしょ?
お願いだから離して」


力を緩めない吉田くん。


「お前のこと……嫌いじゃない」


「えっ…?」


「好きだ」


「えっ?」



わたしを抱きしめる力を弱め、肩だけを持ち私を離した。



「好きだ」


まっすぐ見つめてくる吉田くん。


心臓がドキドキと音を立てて呼吸ができない…


「どっどうせそれも私への嫌がらせなんでしょ?
信じられないよ…」


そう言って私は肩に乗っている手を払いのけ、その場から逃げ去った。