「……もういいよ。


昨日のことは、犬に噛まれたと思ってもう忘れるから」


こんなことに時間をとられても無駄だしね。


それに一応謝ってくれたという点を加味した大人な私はそう言った。


「……忘れんなよ」


「えっ?」


「まず俺、犬じゃねぇし」



「そっそれは例えばの話でしょ?


もうこの話はいいよ!


私はもうなかったことにしたいの!!」




「俺はなかったことにしたくない」


そう言いながら私の方を見つめてくる吉田くん。


強い眼差しは私の動きを制御する…


ドキドキドキドキ…


!?


何これ……


吉田くんになんてときめきたくないのに…


吉田くんが立ち上がり、観覧車が片一方に傾く。


私の真上の窓に両手をつき、見下ろしてくる吉田くん。


「……セカンドチューでもする?」