「なぁ、薫子。薫子は俺と同じ思い出がほしくないか?」


そう聞くと、薫子は目を開けて俺を見た。


そして微笑む。


「あたし、燈里と同じ思い出がほしい」


そうか。


そうだよな。


だって俺たちは恋人同士という設定だもんな。


俺は真っ白で丸い壁掛け時計を見た。


まだ夜の8時半だ。


家に帰ってからそんなに時間が経過していないことを知る。


ショップはまだ空いているかもしれない。


「じゃぁ、今から思い出を作りに行こう」