それから数ヶ月後。


奇跡的に命が助かった俺は結音と同じ病院に入院していた。


精神的ショックもあり、退院までにはまだ時間がかかりそうだ。


それでも事件の時と比べれば随分と人間らしさを取り戻しつつあった。


「結音、入るぞ」


俺は入院着姿のまま結音の病室の前に立ち、声をかける。


目が覚めて動ける状態になってからは、ほぼ毎日結音の部屋を訪れていた。


「今日は顔色がいいな」


俺は結音の横に座り、声をかける。


諒も美奈もいなくなってしまい、俺には結音しかいなくなってしまった。


全部全部俺のせいだ。


だから、結音だけは……。


結音だけは手放したくなくて……。