ほんの一瞬温もりが重なり合うだけなのに、俺の心臓はドクドクと早くなっていく。


頬は熱く、体の芯から溶けて行きそうになる。


薫子の時とは全く違う感覚。


本当に好きな人が相手だからこそ感じることができる、涙が出るほどの幸せ。


俺は今それを感じることができていた。


「ありがとう、結音」


俺は結音のおでこに自分のおでこをくっつけて言った。


彼女の代わりの人形を買うなんて、最低な彼氏だと思う。


そんな俺に最後までこれほどの幸せを感じさせてくれて、ありがとう。