その顔は不安と恐怖と、ほんの少しの期待が入り混じり、思わず笑い出してしまいそうな顔をしている。


「なさけねぇな」


俺は1人ごちる。


こんな顔をしていたんじゃ薫子に計画を悟られてしまう。


俺は服を脱ぎ、熱いお湯にそのままつかった。


体の皮膚がお湯に刺激されてピリピリする。


まだ完全には塞がっていない腕の傷が少し痛んだ。


お湯の中で水泡がつきまとい、肌をさするとそれがまるで炭酸ジュースのようにはじけた。


今日はいつもより念入りに体を洗おう。


これで最後になるかもしれないんだからな。


下着も新しいのをつけて行こう。


悲惨な殺され方をすればそんなもの無意味に終わるかもしれないけれど、せめてもの礼儀のつもりだった。