目からは自分の意思とは関係なく涙があふれ、鼻水とヨダレで顔はメチャクチャだ。


足は思うように真っ直ぐ進まず、まるで酔っ払いのように左右に体を触らしながら歩いている。


けれど確実に結音の元へと近づいている。


俺は歩きながら自分の右肩を思いっきり掴んでいた。


爪を立て、グッと指先に力を込めていた。


止まっていた血が流れ出し、包帯を赤く染めて行く。


それでも俺は力を緩めなかった。


少しでも血を流すことで、自分の感情を落着かせようとしていた。


やがて包帯は血を吸いきれなくなり、手のひらまで流れてくる。


その頃には病院の目の前にいて、俺は巨大な建物を見上げた。


「結音……ごめん」


そう呟き、服の袖で自分の顔をぬぐう。


そして院内へ足を踏み入れたのだった。