間違いなく結音は殺される。


だから俺は薫子からカッターナイフを奪い取っていたんだ。


「俺が……行く」


自分自身でそう言ってしまった。


結音を殺すと、薫子に言ってしまった。


家を出る時には物音に気づき起き出した両親に止められた。


片手にカッターナイフを持ち異様な雰囲気の俺に、両親は泣きそうな顔をしていた。


でも、俺は2人を振り切って走り出した。


行き先も目的も当然告げていない。


そして今、俺は真っ暗な街の中1人で歩いている。


今から俺は結音を殺しに行く。


大切な人を殺しに行く。


大好きな彼女を殺しに行く。