痛みに悶絶し、その場で身をよじる。


薫子はそんな俺にカッターナイフを投げてよこした。


「殺してきて」


そして呪いの言葉をはきかける。


薫子は俺が結音を殺さなければ納得しないのだろう。


なぜだ?


薫子は俺さえ死ねば息帰れるはずだ。


それなのに、なぜ結音にこだわる?


「俺を殺せよ」


俺はようやく自分の体を立たせ、そう言った。


「なに言っているの?」


「お前の目的は俺の魂なんだろ? だったらさっさと俺を殺せよ!」


薫子の目が一瞬うろたえた。


「そんな……燈里を殺すなんて……」


こんな状況にまでなっても、俺の事が好きだというインプットはちゃんと働いているのか。


つくづくややこしい女だ。


俺は薫子にカッターナイフの柄を握らせた。


そして刃を俺の首へと押し当てたのだった。