俺はゆっくりとベッドから起き出した。


両親を起こしてしまわないようにそっと階段を下り、リビングへと入る。


電気は付けないまま移動し、テレビ台の中から救急箱を取り出した。



消毒液と包帯を取り出し、テーブルに置く。


俺はさっきまで腕に巻いていたフェイスタオルを口に入れ、軽く噛んだ。


そのまま消毒液を右肩の傷口にかける。


しみるような痛みが全身をかけぬけ「くっ」と小さく声が漏れる。


俺は傷口の上にガーゼをあて、少し強めに包帯をまいた。


これで少しは化膿する事を防げるだろう。


病院に行ってもいいけれど、事情を説明するのが困難だ。


誰かに切られたという事は明確だし、自分で切ったと言えば精神科へ行かされることになるかもしれない。


どっちにしてもめんどうだ。