誰が?


一番に両親の顔が浮かんだ。


しかしすぐにうち消す。


両親なら肩にフェイスタオルを巻いているのを不審に思うだろう。


廊下に血の跡も残っているハズだから、何かが起きて怪我をしているとわかり、病院へ連れ込むはずだ。


そうしなかったという事は……。


俺はいつも通り部屋の隅で小さくなっている薫子を見た。


そして息を吐き出す。


薫子が俺をここまで運んだんだ。


薫子の力なら俺を運ぶくらいどうってことないだろう。


床の血痕も綺麗に拭き取れば両親は何も怪しまない。


学校から疲れて帰ってきて、そのまま寝てしまった。


そう考えて、特に心配はしなくても不思議ではない。