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「ただいま」


いつも通り鍵を開けて玄関に入り、声をかける。


昨日あれほどはしゃいでいた薫子が、今日は降りてこない。


俺は少し不審に思いながらも自室へは行かず、リビングへと向かった。


鞄を置き、手の付けていない弁当箱を広げ、おかずをつまむ。


食欲はなかったが、全く食べていない状態だと母親に余計な心配をかけるからだ。


おいしいはずの卵焼きは何の味もなく、ただ粗食を繰り返す。


その間にパソコンの電源を入れた。


この前と同じページに飛び、山下陽子の情報を集めるつもりだ。


時間をかけてこの前と同じページが開かれる。


そこに載っている山下陽子の写真に、背筋がゾクリを寒くなる。


やっぱり、薫子にそっくりだ。


見れば見るほど薫子にしか見えない。


俺は更に画面をスクロールさせた。


山下陽子についての詳細が書かれている。


といっても個人情報をそのまま載せるのは問題になるので、出身地や年齢が簡単に紹介されているだけだった。