途中まで美奈が追いかけてきていたが、諦めて教室へ戻って行ったようだ。


歩きながら俺は自分の手のひらを見つめた。


俺は今まで生きて来た中で大切なものを失いつつあるのだろうか。


恋人、親友。


そのかわりに得たものは……薫子。


首筋に手を当てる。


薫子の手形は薄くなっているけれど、まだ跡は残っていた。


薫子にとって俺はなんだろう?


従順な犬か?


自分が生き返るための道具か?


それとも全く違う、奴隷のようなものだろうか。


人形の真相がハッキリしないままだから、目的が全くわからない。


もう少し、人形について調べる必要がある。



俺は足早に家へと向かったのだった。