「だから……だからさ。別れられて、本当はホッとしているのかもしれない」


「……それでも、結音にはお前しかいない。結音の記憶の中にいる恋人はお前なんだから」


諒は落ち着いた声でそう言い、俺から離れた。


「結音が目覚めたら、その時こそお前から奪ってやる」


諒はそう言い残し、旧校舎を引き返したのだった。