俺は病院を出てすぐに走り出した。


薫子はどこにいってしまったのだろう。


一刻も早く見つけ出さなければ、他にも被害者が出てしまうかもしれない。


息を切らして走りながら周囲に気を配る。


薫子は美奈に危害を加えた。


次は諒かもしれない。


そう考えると、一緒に病院を出た方が安全だっただろうか?


でも、今更そんなことを考えてもしょうがない。


俺はひたすら街の中を走り、薫子を探した。


そして自分の家に通じている坂道の前を通った時、俺は足を止めた。


坂の上の方に人影がある。


スラリとした細身の女性。


ピンク色のカーディガンを着ている。