その事実に幾分救われながら俺と諒はドアの前に立った。


美奈の両親はこれから一度帰って入院準備をしてくるらしい。


俺たちは両親が遠ざかるのを見送ってから、目の前のドアをノックした。


もちろん、返事はない。


諒¥がそっとドアを開ける。


何度も通った個室が目の前に現れた。


結音が入院している部屋と全く同じ間取りになっていて、一瞬戸惑いを覚えた。


諒が先に入って行き、俺があとについて歩く。


室内に人工呼吸器はなく、ただ脈拍を測る機械だけが設置されている。


布団は規則正しく上下に動いていて、美奈が穏やかな呼吸をしていることがわかった。