何も言えずにいる俺を前に、諒は薫子から手を離した。


薫子は怯えた表情をしてその場に座り込む。


「薫子を壊す時は、お前じゃなく俺が壊す」


俺はそう言った。


諒に危害が及ぶかもしれない。


そのことを考えると、俺自身が手を下すのが一番いい方法だった。


しかし……。


「お前なんかにできるかよ」


諒はそう言い、美奈を連れて俺の部屋から出て行ったのだった。