俺はホームルームが終わるチャイムを、まるで死刑執行前の囚人のような気分で待っていた。


担任教師が何かを言っている。


俺は時計の秒針に視線をやる。


すべての音は消え失せて、秒針のカチッカチッという規則正しいリズムが鼓膜を揺らしている。


俺の鼓動は更に早くなっていく。


薫子の顔が脳裏によぎる。


昨日の傷がズキズキとうずき始める。


膝の上でグッと握りしめていた拳の内側が、ジワリと湿っているのがわかった。


そして……。


学校の終了を告げるチャイムが鳴ってしまった。


「今日はここまでだ」


途端に担任教師の声が耳に入る。


教室のざわめきも、椅子から立ち上がる音も。


急激に現実へと引き戻されていく。


俺は諒と美奈を見た。


2人とも俺を見ている。