「え……?」


俺は目を見開く。


一体何を言い出すつもりなんだろう?


不安が胸をよぎる。


「あたしたちには、越えられない壁がある」


「薫子……」


薫子はそれを気にしていたから、元気がなかったのか。


ようやく理解できたものの、やっぱりなんと言えばいいのか俺にはわからなかった。


人間と人形は全く違う。


いくら人間そっくりにできていたって、薫子の言う通り壁を取り払う事はできないだろう。


きっと、永遠に。


俺は結局薫子をきつく抱きしめてやることしかできなかったのだった。