しばらくは幸せな毎日が続いていた。


学校では楽しく、進路や就職が決まるクラスメイトたちと騒ぎ合って遊んだ。


家でも、両親は薫子の事で少し文句を言う程度で大きな問題はなかった。


けれど、その日常に変化が見え始めた。


「ただいま」


俺が玄関を開けると走ってくる薫子。


けれど、今日はその出迎えがなかったのだ。


俺は不思議に思いながら1人で自室へと向かう。


「薫子?」


そう声をかけながらドアを開けると、電気のついていない暗い部屋で薫子が体育座りをしていた。


「どうした?」


あまり元気がない薫子に声をかける。